2019.07.11 Thursday

ゆたかみどりと深蒸し茶

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    ゆたかみどりといったら、南九州を中心に育てられ、全国の7割を占めるやぶきたについで栽培されている緑茶品種です。まあ、パソコンの世界で云ったらやぶきたがウインドウズで、ゆたかみどりがマックといったイメージでしょうか。で、この品種は、今でこそ九州地方でさかんにつくられているけれど、最初はそうじゃなかったみたい。

     

    寒さには弱いけど、樹勢といって樹の勢いが強く、味が濃く、香りもある。ただどうにも渋みが強かった。それを、玉露やかぶせ茶のように遮光といって覆いを掛けて一週間くらい太陽の光があまりあたらないようにしたら、渋みが少なく、青みのある濃い味わいのお茶になった。

     

    鹿児島県有明町ゆたかみどりの茶園です。

     

    この話は、全国一のお茶所静岡の牧之原で深蒸し茶がつくられるようになった経緯ととても似ているように感じました。今でこそ、お茶は水色といってお湯に浸出させた茶液の色がグリーンが鮮やかで、渋みが少なくマイルドな味わい。そういうお茶が好まれるけれど、以前はそうじゃなかった。

     

    静岡にかぎらず、標高の高いところで、朝晩の気温差が大きく、近くを清流が流れ、朝霧が立つ。そのようないわゆる山のお茶は、日照も十分じゃないから、葉肉が薄く、したがって味はそうじて淡泊。

     

    静岡県本山:山のお茶です。

     

    けれども、やさしい甘みと上質な渋みのあいまった澄んだ味わいと繊細な香りが楽しめる。そんなお茶が上級茶に共通する特徴でした。それにくらべて平地であることからさかんに太陽の光をたっぷりとあびてまるまる太った里のお茶は、味が濃い。

     

    でもとっても苦渋みがつよくて、二級品扱いをされていたそう。これを蒸し時間を倍くらいにして、そうするとお茶がくずれて粉っぽくなるからその後の作業工程である揉むことをあまりしないで仕上げた。その結果、渋みが少なくマイルドなお茶ができあがった。

     

    深蒸し茶でつくったティーバッグです。

     

    それが深蒸し茶です。粉々になって組織が壊れ、葉緑素が浮かんでいるのが鮮やかな緑色の理由ですが、これがまた美味しそうに見えるんですね。そんなこんなでゆたかみどりも深蒸し茶も人気を博していき今に到っている。

     

    それで、何を言いたいのかというと、この二つのお茶は、いずれももともとは渋みが強くて不人気だったのが、栽培方法や加工のしかたを工夫することで、課題である強烈な渋みを克服し、その結果市場に受け入れられていった。その歩みがよく似ているなあ、と。あんまりそんなこという人少ないみたいだけど、そうだと思うなあ。違うかなあ。

    2019.06.27 Thursday

    セイロンブレンドの傑作に感動

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      朝はもっぱら紅茶で、お湯を沸かし、小さいな気泡がいくつかできてきたら、温めておいたティポットに紅茶を入れて、お湯を差し、蓋をしてティーコジーをかぶせる。

       

      この保温のためのティコジーをするのとしないのとでは、紅茶の冷め方だけでなく味にも影響があるそうです。ゆっくりさめるのとどんどんさめていくのでは苦み渋み成分の溶け出し方がちがうんだと。

       

      ところで、紅茶は100gくらいずつを産地を変えて飲んでいるので、だいたい2週間くらいはおなじのを飲んでいる。だから毎日おなじ味と香りが楽しめそうなものですが、そこにいわゆるがさつな性格というものが現れるのか、ほどほどにおいしかったり、ほとんど香りが立たなかったり、かと思うと、びっくりするくらい味も香りも素晴らしい時があります。

       

       

      これではとても喫茶店のようにお金をもらえないな、と思うのですが。で、昨日も、ラブリー・アフタヌーンというセイロンティを飲んでいたら、あんまりうまいのでおもわず声を上げてしまったくらい。

       

      この紅茶はディンブラというセイロンティがベースで、ソフトで女性的な味わいがします。日本の軟水との相性も良く、日本の紅茶専門店が値頃で美味しい紅茶として紹介することも多い。このディンブラに、ウバというおなじセイロンティでありながら、サロメチールのようなメンソールのような香りをもつ紅茶をほどよくブレンドしています。

       

      ウバは、インドのダージリン、中国のキーマンとともに世界三大紅茶にかぞえられる紅茶ですが、そのウバの魅力がもっともよく発揮されたベストシーズンの茶葉をつかっています。その贅沢なブレンドがちゃんとおいしくはいるとどうなるか。

       

      ソフトでおだやかなディンブラの味わいにキリッとしたウバの上品な渋みとコクが加わり、飲みやすいとは言ってもどちらかといえば平板だったディンブラの味にアクセントができて、立体的なおいしさになります。さらに、ベストシーズンのウバのもつメンソールのような香りがその味をさらに引き立てる。

       

      こういうのをキャラクター(性格)が立っているというのかもしれませんが、とにかくドンピシャリのおいしさに感動してしまいました。

      2019.06.19 Wednesday

      冷茶から入ってお茶好きに

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        先日、来店されたお客様が、くき茶と煎茶をお求めになられたので、「ブレンドされるんですか」と聞いたら、「くき茶は冷茶用で、煎茶はふつうにお湯で淹れています」と。

         

        最近は、NHKなどでもスウェーデン出身の日本茶インストラクターの方が、冷茶のおいしい淹れ方をレクチャーしたりして、ちょっとしたブームになっていますが、こちらのお家では、お子さんたちが小学生の頃から、麦茶をつくるようにして冷茶をつくり、それをお茶は渋くて苦いから飲まないでいた息子さんがとても気に入り、なんでもやわらかな甘みを評して「とてもフルーティだね」といったそうな。

         

        以来、一年を通して冷茶は欠かせない飲み物となっているそうです。やがてお湯で淹れる、冷茶に比べればいくぶん苦渋味をともなうお茶も口にするようになり、いまではそのお子さんもすっかり成人してお茶は大好きなんだと。

         

        これは冷茶の写真じゃないですけど。

         

        冷茶が苦み渋みが少なくて飲みやすいのは、苦み渋みの主成分であるカフェインやカテキンの溶け出し方がお湯の温度に比例するから。一方で甘み成分のアミノ酸はお湯の温度と関係なくおなじように溶け出すから。

         

        だから湯温が高いほど苦み渋みが勝った味になり、お湯が冷めるほど、苦み渋みが抑えられ、ほどよく冷ました70度から80度の間くらいだと甘み・渋み・苦みがバランス良く溶け出し、さらに水で淹れれば、甘みが強調された味となります。

         

        ということで小さなお子さんには飲みやすい冷茶から飲ませて、やがてお湯で淹れるお茶のおいしさを、というアプローチは素晴らしいと思いました。と同時に、自分も含めて、われわれ専門店がもっと積極的にこうした奨め方を発信していく必要も感じました。

         

        ペットボトルはおいしくない(そうでないのもあると思う)なんて言っているより、このお母さんのように、子どもさんにもよろこばれる淹れ方、飲み方を工夫することが大事ですよね、本当に。まいったなあ。

         

        くき茶はいわき市内ヨークベニマル各店、または高木園店舗にてご購入いただけます。

        お近くの店舗でお求めください。

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