2019.03.25 Monday

取引先とのかけがえのない関係

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    村上春樹さんは、何度もノーベル文学賞にノミネートされている現役の小説家ですが、実は翻訳もたくさんなさっている。それで同じようにアメリカ文学を訳している柴田元幸さんと翻訳について話しあった本の中で、こんなことを言っています。

     

    「たとえば、僕がレイモンド・カーヴァーの翻訳をやっている。僕はそのときカーヴァーにとってかけがえのない翻訳者だと感じるわけです。考えてみればこれは不思議な話です。というのは、翻訳者こそいくらでもかけがえがある(他の人が訳すことができる)と思えるから。

     

    で、どうしてそう感じるのかというと、テキストがあって、読者がいて、間に仲介者である僕がいるという、その三位一体みたいな世界がある。僕以外にカーヴァーを訳せる人はいっぱいいるし、あるいはフィツジェラルドを訳せる人もいる。

     

    しかし僕が訳すようには訳せないはずだと、そう確信する瞬間があるんです。かけがえがないというふうに、自分では感じちゃうんですよね。一種の幻想なんだけど。」

     

    で、何を言いたいかというと、このテキスト=翻訳の対象となる本を生産家やメーカー、翻訳者をその生産家や商品に感動してそれを紹介したいと思っている自分に置き換えてみる。すると、いっしょにしちゃうのはおこがましいけど、僕にも同じように感じられるときがあります。

     

    これはムジカの堀江さんがスリランカのホテルで。

     

    大阪へ出張するたびにムジカティへお邪魔して、紅茶やワインを飲みながら堀江さんにスリランカの紅茶を日本へ個人輸入するようになった経緯や、子どもの頃リプトンの青缶を買ってくるようおつかいにいかされた、そんなエピソードを聞いているとき。

     

    スリランカの茶園

     

    35年間無農薬無化学肥料で梅作りをしている龍神梅の寒川さんご夫妻が10年かけて山=土が肥沃に変わったと話されたとき。有明海で視界に収まらないほどの広い海苔の養殖風景を目にしたとき。いわきからブラジルへ渡り、世界中に評価される珈琲をつくった下坂さんの体験談に耳をかたむけたとき。

     

    そういう話、ひとに出合い、こころが充たされ、胸がいっぱいになると・・・自分だからこそ伝えられるメッセージがあるように思ってしまうのです。

    2017.10.26 Thursday

    再来店を促す魅力・・専門店がつくる街

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      銀座、吉祥寺、神保町が個人的にひいきにしている街です。歩いて時間を過ごすことが楽しい街には、その魅力を支える専門店があると思う。そういうことを、この間久しぶりに半日ぶらついた神保町で感じました。

       

      ささまという和菓子屋さんはお茶席用のお菓子が専門で、年間を通して変わらない商品は最中と羊羹。小ぶりの最中を歩きながらほおばるとなめらかで上品できめ細かい味わい。あえていったら伊勢の赤福のあんこをもっと濃くしたような印象でした。あんまりうまいので、夕方もう一度寄ったくらい。

       

      お昼を食べたカーマというインドカレーのお店も、素晴らしかった。小麦を使わず、スパイスで風味を出す(のかな?)から、香りがあって、でもからだが包まれるような優しい味がします。

       

      その後TAKANOで飲んだ紅茶も、伯剌西爾で感動した珈琲も、いずれもある水準をこえたおいしさなのは明らかだと思うけど、それだけじゃなくて、何だろうこの味は、この香りは、と?が生まれ、気にかかり、そのためにまた足を運びたくなる。

       

      もちろん、そうなるためにはメインディッシュばかりでなく、接客や居心地の良さなんかも伴っているわけですよね。で、とにかく、そんなふうに再来店を促す魅力を持った店こそが、専門店といえるのかなあ。とひと月遅れの夏休みを満喫しながら思ったものでした。

      インドカレーカーマのキーマカレーです。

      2017.03.06 Monday

      仕事人の話・・小名浜高校で1年生に。

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        地元の小名浜高校の1年生70人に、販売の仕事のおもしろさなどを話して欲しいと依頼があり、準備した原稿です。約20分の内容。

         

        みなさんこんにちは。高木園の高木です。販売の仕事のおもしろさとか、やりがいとかを話して欲しいと言われまして、今日は2つのことをお話しします。一つは、僕は実家の商売を継いで30年になりますが、ここ数年、あ、この仕事の魅力というかこういうことはいいなあ、と時々思い、そのことを2年前に就職した姪に手紙で書いたことがあります。そのとき書いたのと同じことを話そうと思います。


        もうひとつは、みなさん飛び込み営業ってわかる?初めてのお家や会社をたずねて、自己紹介してものを買ってもらうことです。これはお店に来てくれたお客様に商品を買って頂く場合より大変なんですが、ときにドラマティックな展開があったり、うまくいくと感動するような経験が出来ます。そのことをお話します。

         

        えっと販売・接客の仕事というのは、基本的に誰でも出来ます。特殊な商品を扱う場合などに資格が必要とされることもあるけど、ほとんどの販売の仕事はだれでも、経験がなくてもできる。皆さんは学生さんですが、アルバイトするとき資格がなくてもコンビニの仕事ができるでしょう。


        そして資格の必要な仕事というのは、学校の先生でもお医者さんでも、設計士でも、それぞれ専門の大変さはもちろんあるでしょうけど、ある意味でその資格に支えられ,守られることもあると感じています。


        人っていうのは、そういった資格や経験や学歴などの肩書き、頭がいいとか、それと器量の良さ(美人であるとか、ハンサムだとか)、あるいはスポーツが得意だったり、歌が上手かったり。そういうことをなにがしかの支えに日々を送っているものだと思う。


        でもそういったこと(自分を支えてくれるうんぬんかんぬん)が、販売の現場ではあまり役に立ちません。どうしてかわかりますか?目の前のお客様が気に入ってくれなければしょうがないからです。

         

        もちろんお客様がお買い物してくれるには、商品の良さや、お店の雰囲気や、販売する人の商品知識も大切です。けれどそういったこととおなじくらい、あるいはそれ以上にお相手する人が、気持ちよい感じよい接し方をしてくれることが大事になります。


        皆さんだって、洋服を買うにしろ、セブンイレブンでおでんを買う場合だって、どうせ買うなら感じの良い人から買いたいと思うでしょう。いってみれば自分の評価をお客様がする。そのことがこの仕事のおもしろさであり、厳しさであり、またフェア=公平なことだとも思います。


        お客様に気に入ってもらうことが大事だからといって、お世辞を言ったりすることがいいというのではありません。たくさんのお客様を毎日相手していくのですから、やっぱり温かみのあること、面倒見の良いこと、親切にしてあげて喜ばれることが嬉しいと感じられること。

         

        サービス精神ということばがありますが、これはサービスしたい気持で、こういうことを自分の心の中にゆたかに育てていくことがよい接客にはいちばん大切だと思うし、実際たくさんのお客様から慕われている販売のプロは、そういった魅力を持っていると思います。


        ということは、自分の人柄、人間性みたいなものを、お客様との毎日の触れ合いの中で磨いていくことが、そのまま販売員としての成長につながっていく。そのことがこの仕事の素晴らしいことだ思っています。ひとりよがりでない、魅力あるキャラクターを自分のものにしていくと、それはお客様だけでなく、まわりのみんなから慕われ、すなわち自分の幸せにもつながっていくことでしょう。

         

         

        もうひとつ、飛び込み営業の話をして終わります。お店にいらっしゃるお客様は、興味や目的があって来店しています。が飛び込みというのはそうではありません。頼みもしないのに突然やってきて・・。だから、玄関先でもインタフォンでも、たいていは最初警戒されます。


        そのお客様の警戒した怪訝な表情を前に、できるだけ自然な笑顔で挨拶し、お話をしていく。そうすると、最後まで最初とおなじ感じのお客様もいらっしゃるけど、こちらがお話をしている間に少しずつ表情が変わって、ちゃんと聞いてくれることがあります。


        皆さんは新盆てわかりますか?その年に家族のどなたかが亡くなって葬儀のあったお家が、最初に迎えるお盆のことです。このへんでは、新盆には、親戚以外でも親しかった人がお金を包んでお線香を上げにお家に行く。そのときのお返し、返礼品というのですが、その返礼品を買ってもらおうと僕は営業に回っています。


        だいたい毎年300軒以上は訪ねます。説明をして、チラシと梅とかそうめんとかうどんなどの見本の入ったサンプルセットを渡して、お試し下さいといって帰ってくるのですが、そのときに感じよく受けとってくれたお客様の3分の1くらいは注文を頂けます。ご挨拶して、商品の説明をざっとして、お客様の質問に応えたりして、だいたい10分くらい、その間に親しい雰囲気が生まれる。

         

        ともするとその場で10万円を超える注文がたった一度の初めての訪問で決まることもあります。まあそれは滅多にないけど、とにかく、警戒されたのに、玄関を出るときに、お客様に笑顔で送り出して頂ける、そういうことは結構あります。それは、何度やっても感動します。まるで恋愛のようです。

         


        時間が余ったので、あとひとつお話しします。僕の店でも高校生のアルバイトをお願いしていて、皆さんのOBにもたくさん助けてもらいました。もう10年くらい前の話ですけど、ちょうど二人が卒業することになり、同時にバイトも卒業だからメッセージを手紙に書きました。内容は、巣立っていくひとへのはなむけですが、これから社会人になり仕事をしていく上で、何が一番大切か、ということを伝えています。

         


        社会に出て仕事をするときに、一番大切なことはいったい何だと思いますか?能力も大切です。でも能力にはいくらでも上がいます。自分より頭のいい人も、手先の器用な人も、お話の上手な人も、お話を聞くのが上手い人も。もちろん能力を磨いていく努力は必要であり大切ですけど。


        これは僕だけでなく、いろんなひとがいっていることです。あのですね、一番大事なことは、人に可愛がられることです。可愛げのある人になることです。素直で、頑張り屋で、注意されたら素直に反省して、教えられたことをちゃんと復習して、気持ちよくからだを動かして、不機嫌をひっぱらず、明るくて笑顔がよかったら。まわりが放っておきません。

         

        可愛いから、この子にいろんなことを教えてあげようと思います。だから、知らないうちにたくさんのことを学んでいくのです。やがて、自分を支えてくれる人脈というネットワークも出来ていきます。お客様も、もちろん喜んでお買いものをしてくれる。だからどんどん成長していけるのです。


        その反対だったらどうなると思います?注意されて、ふくれっ面をしたり、いわれたくないという気持を体全体で伝えていたら。だれも好きこのんで注意したり、叱ったりするわけじゃないのだから、その子には言わなくなるし、必要以上のことを教えなくなります。だからひとりよがりのわがままなままで成長もしないのです。


        乱暴ないい方をすれば、世の中には可愛い人と、可愛くない人しかいないと思う。だから可愛がられる人になることがとっても大切だと僕は思っています。ご静聴ありがとうございました。

         

        感じの良い接客でお客様から喜ばれた大峯さんと丹野(旧性)さん。今はお二人とも退社されています。

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